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歩兵

士官

ヨーロッパで正規軍の形成が始まると、旧来の封建制度が変化し、新しい中央集権組織が誕生しました。騎士という職はすたれ、代わりに騎兵隊がもてはやされるようになりました。ばらばらに組織されていた封建時代の小隊に代わって、士官が指揮をする騎兵隊と歩兵隊が登場したのです。できる限り効率的に軍を組織化し、最高支配を可能にするために厳密な順位づけが確立されました。士官の人数は限定され、士官に昇格するには在籍期間が長いだけでは不十分で、欠員が出なければなりませんでした。

ヨーロッパの軍事組織は次のようなものでした。たとえば、スウェーデン連隊1個は8個の中隊で構成され(大隊1個は中隊4個から成る)、1個の歩兵中隊は大尉1名、中尉1〜2名、少尉1〜2名、伍長5名、鼓笛隊員3名、兵卒140名から成りました(合計約150名)。スウェーデン騎兵は各々3個の騎兵大隊(中隊12個)から成る連隊に分けられました。各中隊は兵卒124名、トランペット奏者1名、大尉2名、中尉2名、コルネット奏者2名、士官候補生1名、補給係将校2名、伍長5名で構成されました。同じ頃のロシア歩兵連隊は1,388名で構成されており、その内訳は参謀将校3名、将校補佐40名、伍長80名、鼓笛隊員27名、技術兵24名、事務員と理髪師で8名、御者86名、兵卒1,120名でした。ロシア竜騎兵連隊は騎兵大隊5個(合計約1,300名)から成り、その内訳は参謀将校と将校補佐で合計38名、伍長80名、兵卒920名、非戦闘員290名でした。下位区分における将校と将校補佐の数によってその部隊の戦闘価値と統率力が決定づけられました。将校や将校補佐の武器は金色の柄の付いた剣、ピストル2丁、そしてヨーロッパほとんど全土と同じく、多様な種類の鉾槍でした。彼らは鎧または胸甲を着用することができました。将校や将校補佐になれるのは貴族階級出身者だけに限られ、彼らの制服は高価な繊維と金の刺繍で装飾されていました。生まれの卑しい者が高い階級まで出世するのは極めて困難だったのです。