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歩兵

マスケット銃兵

マスケット銃兵は正規軍の基盤であり、最も多い数を占めます。マスケット銃兵は鎧を着用せず、主要な武器として火縄式マスケット銃を持っていました。マスケット銃は長さ約1.25メートル(4フィート)、重量約7キロ(15ポンド)、口径18〜20ミリ(約3/4インチ)でした。火縄式マスケット銃は2分に1発しか発射できず、発砲の前にマスケット銃は銃架の上で固定されました。マスケット銃兵は火挟みから火縄を引っ張り出して、それを左手で持ち、そして地面に銃の台尻を置いて管から銃身に火薬を詰めました。次に込矢を使って火薬を均一にならし、詰め綿で抑え、弾丸を銃身に挿入、次にマスケット銃を両手に取って、点火薬を火皿に満たし、火蓋を閉じ、余った火薬を吹き払い、火蓋を再び開き、そして火縄を固定し、照準を合わせ、ようやく発砲することができました。ちょっとした火花でも簡単に火薬や兵士の制服を発火させかねなかったため、いぶっている火縄をいじりながらの動作はかなり危険を伴うものでした。マスケット銃兵は革にセットした火薬の入った木製の管12個、予備の火縄1個、弾丸入れ1個、点火薬入れ1個を付けた肩帯を身につけていました。マスケット銃はかなり強力な武器であり、その弾丸は50歩離れた距離にある厚い金属板を貫通できました。マスケット銃と一緒に、兵士は剣も持っていました。三十年戦争時のマスケット銃兵は横6列の隊形をとりました。一斉射撃を終えた横列は、その度に後列に下がりマスケット銃を再装填しました。

技術が進歩するに従い、マスケット銃は軽量化され、1624年、スウェーデン陸軍は銃架の要らないマスケット銃を使っていました。1671年には、フランスの近衛銃兵はフリントロック式のマスケット銃で武装していました。1692年以降、フランス陸軍がこの新しい武器を採用、ほぼ同時期にヨーロッパの全ての軍が同様のマスケット銃で武装するようになりました。